Sweet Scar・後編 宮尾作
「几帳面なのな」
「綺麗好きって言ってよ」

 崎谷の言葉に、宮島は少し顔を膨らませてそう一言だけ反論した。宮島は崎谷のベッドの上で既に上を脱ぎちょこんと座っていた。

「・・・TVつけるか?」
「ううん・・・いい」
「・・・そうか」

 崎谷は一瞬リモコンを手に取りかけたが、結局取らずにそのままその手を下ろし、ベッドの方へ歩いて行き、宮島の隣に座った。距離か近くなると、いっそう相手の体温を近くに感じる。特にまだ髪や肌が濡れている崎谷の姿は、宮島の目には刺激的だった。

「・・・崎谷くん・・・」
「・・・何だ?」
「やっぱり・・・こんな関係、ダメなのかな?」
「・・・唐突にどうした?・・・別にダメじゃないだろ」

 崎谷はそう言って、宮島の方にそっと手を回す。宮島はその手を自分の出て触れ、優しく、だけど僅かに強く握り締める。

「・・・今朝みたいに、崎谷くん困らせちゃうから」
「それはお前の行動が極端だからだろ。人前で恥じらいも無く・・・でも、言ったとおり、俺はお前を嫌っちゃいない」
「でも・・・やっぱり・・・僕、女の子として生まれた方が良かったのかな・・・?」
「・・・何で?」
「だって・・・それならこんなに悩まなくて済むもん」

 宮島は崎谷の手をいっそう強く握り締め俯き加減で話す。その様子を見た崎谷は初め無言で、宮島の手から伝わってくる不安と思いを感じ取っていたが、ふとした瞬間、急に手に力を込め宮島を一気に押し倒した。

「うわ!?」

 身体の軽い宮島は為すすべなくベットの上に仰向けで倒れこみ、その上に覆いかぶさるように崎谷が四つん這いになる。ますます接近した崎田にとの距離に、宮島の血流が一気に早くなるのが自分でも分かっていた。

「崎谷くん・・・!?」
「・・・なんかさ、しらふだと・・・酔った時普段どうやってお前とやっていたか、思い出せなくてな」
「え・・・?・・・あ・・・うん・・・大丈夫・・・」

 今までだって何度も経験しているはずの崎谷の身体なのに、今日宮島がいつも以上に緊張していたのはきっと、宮島に冷静さが残っているからだろう。普段の場合、よった彼にちょっかいを出して襲ってもらうのがパターンだったから、落ち着きながらも自分を襲おうとしている崎谷の姿が新鮮だからなのかもしれない。

「僕は・・・崎谷くんになら、どうされても構わないし・・・」
「・・・宮島」
「・・・何?」
「お前・・・やっぱ男のほうがいいよ」
「え・・・?」

 宮島は少し驚きと安堵が入り混じった表情で、目の前の崎谷の顔を見つめた。崎谷はその表情を見て少し顔を緩める。

「・・・第一、お前がもし女だったら、お前この学校にも入ってないから、出会えなかっただろ?」
「そりゃあ・・・そうだけど」
「それに・・・確かに俺は、お前はお前だって言ったし、そう見てるけど、もしお前が女だったら、それでもその時お前を愛している保証は何処にも無いんだ」
「・・・」
「その声・・・その姿・・・その性格・・・ドラゴンに変身すること・・・どれをとっても、俺は・・・好きなんだよ、結局。お前の事が」

 崎谷は、どこか自分にも言い聞かせるようにそう言った。そしてその言葉は宮島にとってずっと聞きたくて一日中待ってた言葉でもあった。自分の中で張り詰めていた何かが、ピィンと断ち切れた気がした。その瞬間、宮島の手は自分の身体よりやや高い位置にあった崎谷の身体をすぐに捉え、そのまま身体を起こし自分の顔を彼の顔に近づけて、静かに、そっと、感情が溢れて火照った唇を触れ合わせた。

 突然の事に崎谷は一瞬戸惑ったが、すぐにその状況と、溢れ伝わってきた宮島の思いを感じたのか、その唇を重ねたままゆっくりと身体を引き合わせるように、宮島の身体と自分の身体をベッドの上へと戻した。その間も2人はしっかりと身体と唇を重ね合わせ、離れることなくただひたすらに愛し続けた。そしてその間徐々に2人の体温は高まっていく。が、やがて宮島の身体の熱さは普通の人間とは思えないほどに熱くなっていく。そして息も荒く、苦痛と快楽に顔を複雑に歪ませていた。

「ん・・・!はぁぅっ・・・んぁ・・・!」

 宮島の口からいよいよ声が漏れ始めると、崎谷はそっと彼の顔から自分の顔を放し、そして身体も一度少し距離を置いた。・・・彼の変化の邪魔にならないように、少しでも彼に動きやすいようにしてあげる必要が有った。そして、すっとよけるようにベッドの下のほうに膝で立つようにして彼を見下ろすと、既に変化は始まっていた。
 全身にさぁっと淡い緑の光が覆ったかと思うと、彼の皮膚が変質し始める。健康的な肌色から血色が引いていき、硬く細かな鱗へと変化していく。手足の爪は鋭く伸び、それぞれ指先から手首足首までが僅かに長くなる。

「ぐ・・・ァア!」

 変化に耐えるように、彼は大きな声を上げる。その声を発する口周りも変化を始める。鼻先が上唇と共に尖り前へと押し上げられて行き、下あごもつられて伸び全体的に前に長くなっていき、口は大きく裂けたようになる。
 髪の毛は徐々に金色へと変化していき、程よく延びるとそれは最早髪と呼ぶよりも鬣だった。さらに鬣の生え際、頭のてっぺんは左右それぞれ出っ張り始めたかと思うと、そこから皮膚を突き破って硬いものが延び始める。それはすぐに立派な1対の角へと変化した。

「ハァ、ハァ、ゥ・・・フゥ、どう・・・?」

宮島・・・だったそれは途切れ途切れな呼吸の中から絞り出すように声を上げ、自分を見下ろす崎谷のほうを見つめた。

「どう・・・ってまだ途中じゃないのか・・・?・・・そりゃあ、まぁ・・・いい姿だと思うけど」

 崎谷は彼の姿を見てそう答えた。確かに一見すれば変化は完了し、今朝見たドラゴンと同じように見えるが、しかしその外見は明らかに今朝のドラゴンとは異なるものだった。手足の長さは人のままであり、本来のドラゴンに有るはずの尻尾と翼がまだ生えていない。
 人の体躯に、竜の頭と皮膚を持つそれは、完全なドラゴンではなく、あえて言うなら竜人と呼べる姿だった。本来存在しないはずの空想的な生物であるドラゴンの特徴が、高校生としてはやや幼さの残る宮島と混じった事で何と形容も難しい不思議な魅力をかもし出していた。

「・・・僕一人で、先走って盛り上がっても仕方ないし・・・と思って・・・」

 竜人は宮島の声でそういいながら、爪が鋭く光る手をゆっくりと上げ、そのまま自分の胸元へと運ぶ。そして、人差し指1本をすっと立て、その爪を今度は1度口元へ運び下で1回舐め、再び胸元へ戻すと、自らの胸をその爪で傷つけ始めた。にわかにそこから流れ出る、暖かく、新鮮な赤。 「宮島・・・」
「さぁ、早く・・・崎谷くんも・・・」
「・・・俺もお前みたいに自分の意思でコントロール出来れば楽だと思うよ。お前を傷つけなくて済むし」
「言ったでしょ?僕は・・・崎谷くんにならどうされたって構わない・・・」

 竜人は自分の指を胸元からどけると、そのまま手を横に寝かせ無防備な姿になる。その胸元をつたい流れ出る赤き川。崎谷はゆっくりと身体を下ろし、再びその竜人との距離を近づける。そして顔を彼の胸元まで運ぶと、一度ゆっくりと唇の周りを、まるでさっきまでの宮島とのことを思い出し感じるように舌なめずりをすると、その舌で竜人の身体から流れるその血をすくうように舐め始める。

「ぁっ・・・!」

 竜人は胸元に熱と冷たさを同時に感じ、僅かに口から声が漏れた。その表情は竜のものであるにもかかわらず、赤らんでいるようにも見えた。崎谷はそのまま舌をゆっくり流れに従い源流を辿る様にして走らせていく。そして血が溢れ出している傷口までたどり着くと、その舌を起用に使い、優しいながらも激しく、まるで傷口をえぐるかのごとく動かし血を拭っていく。柔らかな彼の舌が、竜人の胸元を血ではなく唾液で濡らしていく。

「ハァゥッ・・・ゥア、ん・・・!」

 竜人は傷口の痛みと、崎谷の舌が織り成す言い知れない快楽に身を委ねていた。先の言葉どおり、もう竜人にはどうなってもいい覚悟が出来ていた。その身を完全に恍惚と快感の海へと投げ出し、ただ流されていくだけだった。
 そしてそれは崎谷に自分の血を与えやすいようにと思い、自分の変化を抑えていた彼の理性を、ゆっくりと確実に崩壊させていく。かすかに残った判断力も、今の快楽と苦痛に、変化の快楽と苦痛が加わった時の相乗効果に魅せられていて、もう彼の変化を拒むものは内外共に存在していなかった。

 竜人の腰の下が急に盛り上がったと思うと、勢いよく周りの肉や皮膚、鱗を巻き込んで伸びていき、立派な尻尾が姿を現す。背中も同様にして生まれた盛り上がりは、しかしこちらは硬く変質すると幾つかの間接を生じながら伸び、皮膚の膜が間に覆うと翼へと変化した。手足のリーチが徐々に短くなっていき、指も物を持つには困難なほどまで短くなっていく。その身は次第に、そして確実に人の形を失っていく。・・・しかし、人としての身体を失いつつあったのは竜人だけではなかった。

「ガ、グゥゥ・・・!」

 崎谷はいつの間にか、竜人の胸元から顔を放し、苦しそうに唸っていた。全身異様なほどに汗ばみ、ありったけの力で布団を握り締めていた。しかし、しばらくするとにわかに崎谷は苦しさから閉じていた瞳を大きく見開く、その瞳はまるで今まで舐めていた竜人の血のように赤く輝いていた。そして体中の汗が一気に引いたかと思うと、まるでその代わりのように体中からしなやかかつたくましい獣の毛が噴出し始める。
 背は鮮やかなオレンジの腹には雪のような白の毛が多い、そしてそれらを横断するように黒いストライプの模様が、まるで壁にスプレーを吹き付けるように描かれていく。その変化に呼応するように、全身の身体つきが骨格から変化していく。

 布団を握り締めていたその手は、徐々に指が短くなっていき布団が握れないほどに短くなると、その指先には太く鋭い爪が尖り、手のひらは柔らかくピンク色に色づき盛り上がり、肉球へと変化した。その変化は足元にも同様に訪れていた。足先からかかとまでが長くなると、身体のバランスを保つために今まで膝をついていたがその膝をゆっくりと持ち上げる。
 既に四肢の長さも、身体つきも2本足で立てなくなっていた。むしろ初めから4本で立っていたかのように自然に、柔らかで不安定なベッドの上にもかかわらず踏みしめていた。後足よりも更に後ろでは、長く細い尻尾がゆったりと揺れていた。

 その顔も既に、人としての崎谷の顔を知っている人間が見たとしても、彼だと分からないほどに変化している。顔全体にも身体と同じように3色の毛が覆いはじめていた。鼻先は鮮やかなピンク色に色づき、上唇を伴って僅かに前に突き出した。その上唇も縦に割れ、その口を大きく開くと、中から上下に鋭い牙が生えていた。鼻の周りには硬いヒゲが何本も左右に飛び出すように生えていた。耳は頭の高い位置まで上っていき、三角形に尖り辺りを警戒するようにピクピクと動かしていた。

「グルルル・・・」

 崎谷だった獣は、喉を小さく鳴らした。既に体の中も完全に作りかわり、人の声を発する事は出来なり、一見はただの獣、ライオンと並んでネコ科最大の獣であるトラそのものだった。唯一つ違うのは、その目が本来のトラとは異なり、赤く怪しく光り輝いている点だった。

「ハァ・・・ハァ・・・やっぱり、崎谷くんのその姿・・・凄くいいよ・・・!」
「・・・グルゥ」

 トラは自分の顔の下から聞こえた声に反応をして声の主を見る。そこには既に竜人の姿ではなく、同じ特徴、顔を持つ1匹のドラゴンだった。トラは姿の事を言われて、照れくさそうな表情を浮かべながら喉を鳴らすと、竜の頬をその舌で舐めた。ドラゴンはそのくすぐったさから一瞬目を閉じるが、トラの舌が離れると、再び瞳を見開きトラの姿をじっくりと見つめる。時々風に吹かれて揺れるカーテンの間から差し込む月の光で、トラの毛は黄金色に輝きを見せる。ドラゴンはその姿にじっと見とれていた。

「・・・ガゥ?」
「ん・・・?あぁ・・・何でもないよ、ただ・・・」
「グゥ?」
「僕、やっぱり崎谷くんに会えて、本当によかったって思ってる」
「・・・グルルゥ」

 トラはそう鳴くと目を細めて、自分の心もまた幸せに満ちていることを示した。・・・トラの姿は美しく、戦えば強く、言うことはなかったが、唯一の問題が言葉が発せられない事だった。理屈は分からないが、ドラゴンはその姿でも人の言葉を発することは出来るようだが、そこは実在の獣と想像上の生き物、同じ理屈で並べてはいけないのだろう。
 しかし、その事で2匹の間に変身中に言葉の溝が生まれることは無かった。いや、この姿の時にはもう、言葉なんて多くは必要なかった。既にお互いに人でない以上、自分の思いを表現するのはその身体だけで十分だった。

「・・・崎谷くん」
「ガゥ?」
「・・・愛してる」
「・・・ガァウ・・・!」

 それを最後に、ドラゴンも言葉らしい言葉は発しなかった。その直後にトラがドラゴンの顔に急接近し、再び人の時のように唇を重ね合わせた。そしてそのままその身を重ね、互いの前足と後足、そして尻尾を器用に絡ませながら、ベッドの上で互いの身体を感じあっていた。・・・獣の姿であるにもかかわらず、獣のようにしないのは、お互いに腹を向けるようにした方が相手の顔、体温を感じていられるからだった。2匹の性別では行為が結果になる事は無い。
 ならばその間、互いの愛を確実に、深く確かめることの方が大事だった。やがて愛は興奮へと代わり、心では既に飽和状態になってしまい、それは形となって外へとあふれ出す。その愛を時に身体で受け止め、時に舌でその想いをすくい上げ、複雑で苦く濃厚な、しかし甘美な愛の味を噛みしめた。部屋には時々漏れるドラゴンとトラのうめき声と、2人の愛の香りが満ち溢れていた。静かで甘い夜は、2匹の想いが途切れるまでずっと続いた。



 何時だったか宮島から聞いた話だと、彼の胸の古い傷は小さい頃にいじめられたものらしい。実際は胸以外にも傷は負っていたが、ドラゴンの治癒力で直したらしく、胸の傷も簡単に直す事が出来るらしいが、あえて過去と無理に決別しないためにそれを残したと言う。崎谷がその話を聞いた時点では、偶然彼の傷を見てその理由を聞いただけで、まだ彼がドラゴンに変身できる事を知る前だった。
 しかし、自分も似た境遇で生きてきた事から、直感的に彼から何かを感じた崎谷はとっさに宮島を傷つけ、その血をすすり目の前でトラへと変身して見せた。初めは宮島もその様子に驚いていたが、すぐにドラゴンへと姿を変じると、今度は崎谷が驚く番だった。何かを感じたとはいえ、変身するのが空想上の動物だった事と、自分は変身に他人の血が必要であるのに対して、宮島が自分の意思で変身できるという、2つのカルチャーショックに少し動揺を見せた。
 しかし、それは2人に共通の秘密を作り、やがて2人の関係は似た境遇を抱えた友人から、信頼しあえる親友と代わり、そして何時の頃からか、一つのラインを超え始めていた。

「・・・でも、僕は後悔してないよ・・・」

 ふっと耳に宮島の声が聞こえた。・・・どうやら激しい夜の後、そのまま疲れのせいか自然に眠ってしまっていたようだ。崎谷は眠い目をゆっくりと開けると、そこには人の姿の宮島がベッドに腰をかけていた。

「あ・・・独り言のつもりだったんだけど・・・起こしちゃった?」

 申し訳なさそうな表情を浮かべる宮島に、崎谷は「気にするな」と声をかけようとしたが、しかし。

「グルゥ・・・ガゥ?」

 ふと、自分の声に気づき、首をかしげながらまだはっきりと開かない目で自分の身体を見回した。丸みを帯びた指先に手のひらの柔らかな肉球。まだその姿はトラのままだった。

「余程疲れてたんだと思うよ・・・元に戻る前に眠って、寝てる間も変身が解けなかったみたいだし」
「・・・ガルゥ・・・」

 そうか、と小さく鳴き声を上げた。するとすぐにその身体が変化を始める。手足がすらっと伸び、全身の毛が引いていき、顔も宮島がよく知る人の顔へと変化していく。

「・・・うん、こっちの崎谷くんもやっぱ好きだな、僕は」
「・・・結局、どっちも俺だからな」

 既にその言葉を交わすときにはそこにトラはおらず、代わりに崎谷がふぅ、と小さなため息をつきながら一糸纏わず座っていた。

「・・・やっぱ、トラの姿になる時の方が、心地はいいな」
「あ、崎谷くんもそう思う?」

 宮島は意見が一致した事で嬉しそうに崎谷のほうを見た。彼もまだ、その身には何もつけずにいた。その胸元には新しい傷が出来ていた。

「・・・その傷、やっぱり消さないのか?」
「え・・・うん」
「目立つからさ、やっぱ消した方がいいんじゃね?ドラゴンの治癒力をフル使えばあっという間だろ?」
「うん・・・そうなんだけど・・・でもこの傷は、崎谷くんが僕を愛してくれた、その証だから」

 宮島が自分の新しい傷に手を当てて、幸せそうに微笑むから、崎谷はもうそれ以上何もいえなくなった。何だかんだ言っても、宮島が幸せなら、崎谷も幸せになれるのだった。

「あ、そういえばどうでもいいことなんだけどさ?」
「ん?何だ?」

 宮島は急に何かを思い出したように言葉を切り返す。崎谷は少し首をひねりながら、聞き返す。

「僕の血の味・・・傷を舐める時の味って・・・どんな味?」
「・・・ハァ?」
「いや、何となく気になって」
「そりゃあ、普通の・・・、いや・・・」

 崎谷はそこまで言いかけて、ふと言葉を止める。そして、昨日の感覚を思い出すように瞳を閉じ、ゆっくりと舌で唇を舐めると、ゆっくり瞳を開いて宮島の方を見て笑顔で答えた。

「・・・そりゃあ、甘かったさ。お前の傷は、俺が宮島を愛した、その証だからな」

 完
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