ゆんちゃんクライシス 第四話 恐怖の融合怪人 kyouske作
 二人の無事保護に時空捜査局日本支部の職員らが安堵していた。

 ゆんも久実も今一つ状況が飲み込めないが自分達が人間ではない事や柊先生や高橋先生がこの世界の受任で無い事は確かである。二人にはとりあえず学校の体操服を着せる事にした。

 応接間に通された二人は更に驚く、それは初老であるが結構顔が良く要領が上手い用務員であった。
「二人とも無事で何よりだ……私は表向きは用務員をしているが、真の姿は第三十時空捜査局地球日本支部の所長だ…ボスと呼んで頂くと助かるがね」
「はぁ……で、その私達を誘拐した連中って……」
 久実は恐る恐る言うとボスは言う。
「銀河帝国は第三十三時空世界に存在する巨大帝国であるわけだ。ちなみに時空とは”時間の流れ”が大河の様な物と考えて頂くと助かるが、女の子には難しいかもな…時空を超える技術はまだこの世界に無いから、どうなるか分るかな?かつてアメリカ大陸で独自の文明を誇っていた数多くの文明がヨーロッパの各国に滅ぼされた様になる」
 ボスは言うと二人は何と無く分った、つまりこの世界の文明は滅びると言う事だ。
「その動向を探る為に普通は外交とか開いてから設置するが、オーバーテクノロジーが流れ込めばこの世界の文明が滅びかねない……だからこそ、少し違法であるがこの小学校の地下を借りて活動を始めたと言う事だ、二人は現地雇用だけどね」
「戦隊物のノリですね……巨大怪人を倒すロボットまであるとか…」
「巨大化はまずは無いよ、巨大化は科学的に言えばかなり無茶苦茶な物だ、せいぜい怪人化が精一杯であろうな」
 そこにウィングライトの三人が入って来た。柊は一礼し書類を出す。
「ボス、例の蜂女ですが……身元が割れました…ショッピングモール”ウェルバー”にある下着専門店”ライト・ラェンジェリー”の店員です」
「私が何時も下着を購入している店です……」
「先ほど、ガサ入れたが奴等はもぬけの殻でした……セル化されて数日といった所です」
 セル化とは銀河帝国がその国を内部から崩壊させる時に使う戦法である。高橋は二人を見て眼を背ける……どうも彼はロリらしいが生まれ育った時空は長寿遅老世界だったので戸惑っている訳だ。
「ボス、どうやらあちらは神弥と言うのが銀河帝国軍の司令官であり、後は誘拐して改造されたと言う事になります」
「高瀬さん?」
「ゆんちゃん、災難だったね……僕も数ヶ月前にボスやブラックに遭わなければ怪人になっていた。柊先生もね…奴等は久実ちゃんの超能力が必要になっている、そうでないと民族衰退が始まる訳さ」
 久実は思わず自分の手を見ると淡い光の球体が灯る。
「私はその格闘能力って?」
「普通妖精族は戦闘補助をメインにする種族で回復、機能強化や敵戦闘能力の低下をさせるが、ゆんちゃんの用に直接戦闘する種族もいた。武器妖精族は武器を触媒にして魔法力を武器に与える事で戦うが、格闘妖精族は己の肉体と一部の武器で戦う珍しい種族であり銀河帝国軍を恐れさせた妖精族だ」
 ゆんは何と無く納得した、F○のモンクかD○シリーズの格闘家みたいなもんだ。兄の影響でRPGに関しては多少の知識がある。
「これから、どうなるんですか?」
 久実が尋ねると目の前に銀の光を灯す球体が出現し杖とトンファーに下敷きになった妖精が出現した。
「………大丈夫ですか?」
 久実は言うとその小人妖精少年は頷く。
「僕の名はノルン。妖精女王の小間使いを勤めていた者です」
「その、妖精女王が本当の母なんですか?」
「いえ、魂は確かにそうですが生命学的には異なりますので……あのロットとトンファーを取っていただくと助かりますが」
 それなら先に言って貰わないと言う感じであった。

 一方時空の硲に漂う銀河帝国の時空戦艦の貴賓室にて神弥は落ち着いて地球産の紅茶を飲んでいたが雷叶はうろついていた。
「少しは落ち着かないか?」
「神弥様、ここで挫けたら本国に顔向け出来ないと言いましたよね?」
「ふむ、まさか茶葉が普通に買える世界とは…」
 銀河帝国がある時空(世界)は茶葉は大麻や芥子の実と同じで強い中毒性を持っている故に禁制とは行かないが使用制限されているのだ。一度飲むと落ち着きすぎて戦闘意欲が数日湧かないのが理由でありどうやら体質的にそうなるらしい。
「実験の被検体ですが、僭越ながらも私の判断で用意させて頂いてます」
「そうか……こっちにも蛸がいるが小型化しているのだな…」
 1mで大型であるが神弥に取っては蛸とは船体を襲うほどの大きさが普通の蛸なのだ。
「そのサイズではいざっと言うときには不都合ですので哺乳類サイズにしてます」
 雷叶は元々は女子高校生であり、生きる事に失望しビルの屋上で飛び降り自殺したがビルの谷間と言う事でゴミ集積所が呈よくクッションになり瀕死であった。神弥は都合が良いと言わんばかりに彼女に動物の遺伝子情報を与えた。結果彼女は猛禽類の能力を持つ戦士になったのである。主翼も相当大きく普段は背中に収容している。
「被験者は十六歳の女子高生です……私を虐めていた同級生の一人です」
 実験室に大の字に固定されたかつての同級生を見下ろして言う。
「情は無いのか?」
「無いです……この世界が変われるなら…」
 彼女の手には銀河帝国の時空(世界)にてある小型の蛸のDNAが詰まったバイブと同じぐらいの大きさの筒の筒が握られていた。
「膣は緩いな」
「低脳な男に腰を振る最低な雌です」
 その声に彼女が目覚めるが拘束されているので、動かない。
「なに?このドッキリ?」
 雷叶は平然とその筒を押し込むとかつての同級生は悲鳴をあげた。膣内に収まった筒は愛液により溶け出し中に詰まったナノマシーンは子宮と卵巣を制圧し、同時に血管により全身にナノマシーンを送り出した。脳は被験者の意思を無視をし脱力状態にさせる。
「うっ、うごかなぃ!」
 拘束を解かれるが彼女の意思を無視するかのごとく、胎内にて必用なENを造り出す為に筒はそのまま細胞工場化し膨れた。
「いやぁ〜〜、たすけてぇ〜〜〜」
 雷叶は平然としていた、かつての自分を虐めた同級生に同情する必要も無い。助手らは彼女を抱え、約1mの大きさの蛸が漂う水槽に入れると蛸のお腹から触手が伸び無抵抗の彼女を捕まえると自分の体に引き寄せた。つまり彼女の背中と1mの大きさの蛸の身体に貼り付けた格好になり、手足は蛸の体内と融合された。
「いやぁああああああ!」
 彼女が嫌がるが自分と一体化した蛸の足は蠢き、爆乳となった胸から母乳が噴出す。
「マインドコントロールはしないのか?」
「彼女には色々と役立ってもらいますからね」
 神弥は頼もしい部下を持ったと思った。

 さて、地球ではゆんと久実の両親は時空捜査局日本支部へと案内された。
「やはり、只の子供ではないのですね?」
 久実の両親はゆんの両親に言うと彼らは経緯を話した。
「夢枕に女神様の様な人が時々警告するかの様にゆんの事を話していました」
「恐らく妖精族の女王様ですね……久実様の所は事が事だけに慎重になったと…」
 ノエルは話すと二組の夫婦はため息を付く。


 続

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