狼男になった俺は、玄関を突き破り外に飛び出た。女は何処だ。という気持で真夜中の街を走る。そのとき、偶然女が道を歩いてた。残業があったから帰りがひどく遅くなったんだろう。こんな夜道を女一人で歩くとはたいした度胸だ。
俺は女におどりかかる。女は小さく
「きゃっ」
と悲鳴をあげる。女の口を即座に塞ぎ大きな悲鳴をあげさせないようにする。
そして女の服を片方の腕で乱暴に剥ぎ取る。女の裸体が露わになる。女は抵抗するが狼男の俺にかなうはずが無い。全身を舐め回すと、強制的にフェラをした。大量の精液のあまり女の口から漏れ出すほどだ。
「ぁ……あァぁ! アぁあ!」
女は声をあげる。それから俺は女のワギナへとペニスを捻じ込む。果てしなく気持がよかった。女は目を見開きながら顔を歪ませる。そんなものを無視し俺は一人快感を貪る。射精しても射精しても途方もなく湧き出る性欲。いつの間にか俺はに三十回近くも射精を繰り返していた。
狼男に“進化”出来て最高だ。と実感した。女も快感に溺れている。でもさすがにここまで来れば辛そうにも思える。俺は一旦大きなペニスを女のワギナから抜く。いつのまにか、夜が明けようとしていた。いままであんまりにもセックスに夢中だったから気がつかなかった。確か狼男は朝になると人間に戻ってしまうらしい。子供の頃聞いたことがある。
俺は急いでその場を離れた。猛スピードで自宅を目指した。
自宅に着くと同時に、長い夜が明けた。太陽が現れ、窓から光は侵入し、カーテンのレースを通り越し俺の裸体を照らす。俺は自分の肉体を見ると、狼男から人間に戻っていることを覚った。
全身から茶色い艶やかな毛が抜け落ち、床に大量に落ちている。しかし、未だに筋肉質だった。狼男じゃなくなっても、こればかりは持続するらしい。嬉しいもんだ。優越感に浸っていると、疲れがどっと押し寄せてきた。たぶん狼男になった分の反動何かが来たんだろう。俺はそのまま床に倒れてしまった。そして、俺は圧倒的な睡魔に身を委ねた。
俺のいる一面には彼岸花が咲いている。赤で世界が統一されている。そんな真ん中に、女が立っていた。マナだ。そうか……。俺はどうやらまた夢を見ているようだった。とても儚い、マナの夢。マナはゆっくりと口を開く。
「私は――嬉しい」
「……何が?」
俺はマナに対する警戒心を解いて言った。
「猟奇的殺人者をこの世に出さなくて済んだことを決まっているでしょう」
俺は彼女の言葉の理解に苦しむ。
彼女は続ける。
「ほんとはね、私、あなたのことが大嫌いだったの」
「――あ?」
「でもね、あなたと一緒にいると、いつか殺してくれそうな気がして付き合っていたのよ」
「……というと?」
「私ね、自殺志願者なのよ、言うなれば」
「――――」
「でも、あなたとつきあっても全然殺してくれそうに無い。そう覚ったの。だからね、あなたを狼男にして私を殺させるように仕向けたの」
俺は言葉を失い、思考を剥奪される。
「私をあなたが殺すとき、私とセックスを繰り返していたわよね。それがいけなかったのよ。私ね、事前にワギナの部分に必死、というか死ぬ物狂いで手に入れた怪しげな狼男になるための薬を、塗りたくってたの」
彼女は笑う。
「そのワギナにペニスを思いっきり入れちゃったあなたは、狼男になってしまって一瞬我を忘れ包丁で私を刺殺したのよ。まさかあんな怪しげな狼男の薬が、本当だったなんて信じてなかったから驚いたわ」
俺は呆然となって聞き入る。
「ていうか、何で狼男になったのに喰わずに包丁で刺したのかしらね」
彼女は付け加える。
「でね、狼男の最大のデメリットって、何だと思う?」
「…………?」
「十回変身したら、死ぬことよ」
あまりにも残酷な結末に、俺は何も言えずに、彼岸花に囲まれる彼女に、冷笑されるがままに、夢の世界から抜け出した。
狼男のメリットに、全然デメリットがつりあっていない気がするのは、気のせいだろうか。