数時間前の事、秋の涼しいから冷たいと思える様にまでなった風の中を少年はとある神社の境内にいた。どうしていたのかは良くわからない、ただ何と無く中間試験も終わって普段よりも多く転がり込んできた時間を持て余した結果気がついたら・・・と言うべきだろう。
正直言って考えは丸っきりなしであったから、境内にいる事に気がついた少年はしばし参道脇にある石灯籠の足元の石段に腰掛け秋の空を見つめる。見た先の空には細い幾つかの雲が浮かび、そしてその間を赤蜻蛉が幾匹か風に乗る様な乗らない様な・・・そんな心地で浮かんでいた。
"赤蜻蛉かぁ・・・最近見なかったよなぁ・・・。"
ふと赤蜻蛉に気が行く、確かに少年の記憶にある限りでは今年ほど赤蜻蛉を見た記憶がないのも珍しいように思えた。中学3年と言う試験を伴った初の進学を前にしていた心境もあったかもしれない、しかしそれを差し引いてもこれほどまでに印象に浮かばなかった事はこれまでに無い、それが赤蜻蛉を見て真っ先に浮かべたことだった。
見つめている間にも風は吹き続け日は次第に傾き染まり始める。気が付けば赤蜻蛉はどこかに消えただ風だけがあるのみ。空は朱で染まり雲は鮮やかに輝きを伴い、次第に感傷的になりつつあった心境も反映してか何だか視線をとても外せそうにはない。そして耳にはかさかさと言う乾いた葉の音、そして一陣の突風と共に大きな金属音が響く。ふと視線をそちらに反射的に向けた先には・・・拝殿に垂れ下がる鈴が、共にある太い手綱に押される様に揺れていた。
「そう言えば神社にいたんだったな、うっかりしてたけれど・・・お参りでもして帰えろかな。」
時計を見ずとも辺りの様子で大体の時間の見当は付く、あと少ししたら両親が帰宅してしばらく離れた町の高校に通う姉も交えて夕飯になるだろう。すっかり思いに耽っていて気が付かなかったが、改めて思うとすっかり空腹でそこに冷たい秋の風が過ぎ去り様にこだましている。
すぐにでもこの立ち上がった足で帰宅したいとも思えた。しかしここに考えも無しに立ち入った事、更にはこうも長い時間を過ごした事からしてもお参りと賽銭の一つもしないで帰るというのはどうも性分として許せなかった。一体何を祈るのか、とにかくその時に思い浮かんだ事でも・・・と浮かべて足は拝殿へ向かいそして止まる。
鈴を鳴らし二礼二拍手・・・作法を踏み何事かを思い祈る。何を祈ったのか、それは漠然として一つの明確な事なのかそれとも複数の事柄の交じり合った混沌とした事なのかすぐにはわからない。いや恐らくは彼自身も良くわからない内に終わってしまう・・・賽銭を入れて立ち去るその背中には、無意識の内に感じている。そんな勢いが漂い鳥居の外にある階段を下り拝殿、そして本殿から見渡せる範囲から消えても幾ら強風が吹き荒れようとも残り香として漂うそんな勢いだった。
そしてその如何なる者にも嗅ぎ取れない筈である"思い"の残り香・・・それを嗅ぎ取る者がいた事を少年は知らない。
「ふぅ良い風呂だったなぁ・・・。」
普段と全く変わり無い筈の自宅の風呂、それにゆったりと浸かり不思議と上機嫌になっていた少年は軽い服装となって自室にこもる。流石に今日はエアコンを使わないと寒くてたまらないのでエアコンをつけしばし・・・机の上の明かりを灯すと軽く伸びをして布団の上に横になり天井を眺める。
机の脇で起動させていたパソコンからは設定を「一時退席中」としているにも関わらず響く相手からのメッセンジャーでの発言、そして新たなログインを示す音・・・応えなくては、そんな思いも浮かぶ中で次第に目蓋は重くなりそして閉じられる。静かな寝息が時折響くメッセンジャーの音に混じって部屋を満たしていた。それは最近良くある日常の1コマに過ぎなかった。
だが事がそう何時も同じ様に動く・・・そんな事は有り得ないし、常に幾つかの潜在的な見えない可能性がついて動くものである。ただ今までにあった様な展開であり続けたのはそれが一番大きな可能性を秘めていたからであり、そしてそれが選ばれるのはふとした偶然に過ぎない。
だからこそ幾ら可能性が大きくとも少なくとも偶然と言う経過を経るなら、可能性の機会は全てに均等で如何なる場合も有得続けるのだ。そして続く・・・全ては可能性と偶然の連鎖で。
「おぅい、何を寝るんだい?」
眠りかけたその耳に響くどちらかと言えば元気な声、耳に届けど眠さが先行し目蓋が開かず体を転がすだけでいると再び同じ声が響いてくる。
「せっかく呼ばれて出て来たのにねぇ・・・おきなよ、ね。」
そして揺さぶり・・・浅い眠りはその前には余りにも薄く頼りない。重い目蓋を開いて視線を巡らせると何かの影がぼんやりと入ってきた。
「誰・・・ぇ・・・姉さん・・・?」
思わず姉かと思い込んだのか寝ぼけつつ細い声で返す、しかし今度はその声に反応は返らず別の形で・・・ねっとりとして熱を帯びそして長い何かが頬に触れる事で返って来た。それには思わず目を覚まさずにはいられない、いや引き戻されずにはか・・・とにかく目蓋を開けて見回し、今接している相手が誰なのかをようやく見たのだった。そして驚く、相手を知って・・・何故ならそれは全く見知らぬ初めて接する者、姿も何もかも見知らぬ存在だったのだから。
「え・・・あれ・・・?」
そう呟かざるを得なかったのは言うまでも無い。
「驚くなんて・・・ね、駄目だよ?」
驚き呆気にとられて固まる少年に相手は優しく笑みを込めて語り掛ける、しかしそれで少年の驚きは解れはしない。軽く困った様な表情を浮かべると相手は朱色を輝かせて再び切り出した。
「まぁ・・・素直で良い子だよ、だから来たんだけれどね。」
そう言ってその手は少年の頭に載り軽く掴む様にしてくしゃくしゃに擦る、その大きな手で・・・良く見知る手とは異なる感触、翌々似ていて違うもの。大きく頑丈それでいてしなやか、その3つの言葉に相応しいと言い切れるものであった。
その様にただ少年は見つめるだけと言うか、言葉が見つからなかった。何と表現すべきなのか的確な表現が思い浮かばないのだ、見たままに言えばそれは朱色・・・伸ばされた腕、そして見えうる範囲の体は朱である意味輝き、例外として胸部から腹部にかけてのみ白と言うか朱のわずかにかかった極めて薄い色。
それらの見ただけの感触は薄い色が蛇腹ならば、その他の朱は全て一見するとそうとは思えない滑らかな鱗に覆われている・・・まるで蛇みたいな印象だがそうではない。まずそう言えるのが顔、蛇ならば胴体の形態そのままに続く滑らかな顔の筈だが実際には違う。
それは胴体や腕にあるしっかりとした滑らかさとは異なる存在感のある重厚とも言える気配、角があり直線ら近い線を幾つも抱くその顔には、楕円に近い眼光鋭い瞳にとその延長の米神から伸びる先にて二股となる二本角。前に突き出た口と鼻、要はマズルの先端脇からはひょろひょろとした髭が一対伸びて漂っている・・・それが蛇である筈が無い、何よりも人ではない。言って見ればそれは竜、東洋にて竜として崇敬される存在の姿と何ら変わりはなかった。
「誰・・・なのです・・・?」
ようやく見慣れたのか何なのか、とにかく口を開く少年の顔は驚きから困惑へと変わる。その頭には相手の、竜・・・いや竜人の手が置かれて相変わらず軽い愛撫を続けているのもあってかは知らないが、とにかく極度に怯えたりしていないのがどうもますます気を引いたらしく、竜人は顔を近づけ少年の顔と目をじっと見つめる。それは何かを伝えようと・・・ここに来た経緯やら何やらをとにかく伝えようとしている様、そして次第に少年が解れていくのもまた同時に感じ取れる事だった。
「ね・・・?」
「はい・・・いきなりだったもので・・・その。」
少年は何かを理解し完全に緊張を解す、相手は初めて見る失礼かもしれないが尋常でない姿・・・しかしそれは彼がまた内心で密かに好む姿であった事もあり一度解ければ後は駆け足。急速に少年は心を開き受け入れそして恥ずかしさを次第に芽生えさせる、せっかく自分の願いに応じて来てもらったと言うのに最初に屈折した形で接してしまった事に対して沸々と。
「良いよ良いよ、僕は来たくてここに来たんだから・・・そうさ、まぁ寂しかったと言うのかなぁ・・・。」
そう言うと相手の竜人、いや竜神は・・・その時点で少年はもう相手が何であるのかを察していた・・・頭から手を外し両手で彼を抱き上げた。朱色の体に沈む黒髪に灰色の長袖シャツと茶のズボン、そんな少年を深く抱きかかえると頭を斜めにし圧倒的な体格差のある少年の頭髪に擦り付ける様にして静かに呟いていく。
一人でずっときた事、年に一度の集まりより帰ってきてからの静かな時間にどうした訳か耐え切れなかった事、そして少年が現れた事・・・少年にとっては何気ない、むしろ無意識に近い考え無しの行動がいかに喜ばしかったかと静かに呟く。
「だから嬉しくて・・・ね。」
「そうでしたか・・・。」
「ああ、そうだとも。」
そのやり取りをしている間も少年は抱きかかえられて埋められたまま、全身にはひんやりとしてそれでいて熱い竜神の体の感触が痛いほど伝わってくる。そしてその片手はずっと少年の背中を撫で続けていた、そのソフトな感触に思わず少年は自らもまた応える様に竜神に体を押し付けていたかは分からない。そしてその循環は竜神の次なる言葉に発せられるまで続く事となる。
「ん・・・気持ちいい・・・。」
その感触に思わず酔ったのかは分からない、ただ竜神はしばしの沈黙の後にそう小さく囁いたのは事実だった。そしてそれを少年はもっとして欲しい・・・そのサインだと思って受け止めますます可能な限り体を押し付けて擦らせる。それに乗る様に竜神は低く喉を唸らせ、そして不意に腕の力を解きその姿勢から少年を解放するのだった。
「あれ・・・もう良いのですか・・・?」
予期せぬ急展開にもっとしようと考えていた少年は思わず戸惑いの声を上げざるを得なかった。しかし竜神は軽く首を振りそして押し倒す、少年の四肢を自らの四肢で押さえつける拘束した姿勢となってベットの上に展開した。
「まださ・・・もっと君を感じたくて・・・良いかい・・・?」
そう言いつつ竜神は片手を器用に使い少年の上着のボタンを外し肌蹴させ・・・そしてズボンを、パンツを半ばまで後は足で下ろしてその素肌を露とさせた。それには少年は頷き、ふと自らの胸がこれまでになく高まっているのを・・・更には熱が胸と頭、そしてもう一箇所に全身の中でも特に高まっているのを感じていた。
そして竜神も・・・最も竜神は最初から衣服等纏っていなかったので、それは明確で他ならなかったがその反応は矢張り正直。息は肌蹴れば肌蹴るにつれて荒くなり手の動きも大胆となる、何よりもそれは竜神、その彼の股間の反応、イチモツの反応で明らかだった。縦割れの中に隠れていたそのイチモツは今やすっかり表に出て、熱と共に熱を帯びた液体を先端から滴らせて少年の股間とシーツを湿らせているのだから。
そしていつの間にか少年の唯一の穴を指で解しているのだから・・・少年の先走りを利用して。その感触、そして勢いに思わず少年は載せられ流される。
「名前は・・・?」
「ふ・・・文聡ぉ・・・あなた・・・は・・・っ?」
「タツ・・・と呼んでくれ・・・。」
短い互いの名を確認しあうやり取り、竜神たるタツの言葉の後に言葉なくただ荒い密かな吐息が聞こえるのみ。目と目、顔と顔の動きで確認しあうとタツは一気に動き宛がい・・・一気に挿し込んだ。
「つぁっ・・・あああ・・・っ!?」
少年、文聡は大いに体を震わせそして軽く反り返る。文聡のイチモツからもまた先走りが漏れその量は恐らく本人が普通に見ていたら驚くものだろう、彼とてもう精通はもう既に経験し自慰だとかには既になじみのあるお年頃・・・だからこそ、その精液かと見間違うばかりに景気良く漏れ出ていた先走りの量には素直に驚くだろうと言えるのだった。
「文聡・・・キツキツ・・・ぅ・・・!」
「う・・・あ・・・は・・・初めて・・・ぇっ。」
互いに喘ぎ、タツはその初めての締め付け具合に、文聡はその初めてのアナルの感覚に喘ぎ感じる・・・タツは一気に押し込み収めきるとしばらくそれで固定し見つめあった。文聡が安定するまでその顔を近づけて頬やら首筋を舐め・・・落ち着いては口付けをし舌を絡めて。そして腰を降り始めた時、すっかり熱に熟れた2人は互いに互いの名前を求めて喘ぎ感じあう・・・そして時間は過ぎていった。
「ふふ・・・。」
文聡は笑う、自らの視線と両手の先の胸・・・有得ない双球の胸にある膨らみを見て微笑むのだ。
「でも本当に良いのかな・・・その姿は、ふふ。」
「良いの・・・これでもっと・・・ね?」
含み気味に尋ねるタツに微笑みで返しそして迫る文聡、その体はもう文聡ではない。全身はふさふさの毛、純白にしてほんのりと三角形の立った耳たぶの中が桃色をしている獣毛。その耳は頭の上にありマズルは長く目は細く切れ・・・狐目、そして尾てい骨であった箇所から湧く二股の矢張り白のふさふさの尻尾。胸には膨らみを、そして股間には縦の切れ目を持ち当たりの毛を湿らせ滴らせている体となった文聡。それは狐、狐人・・・更には女となったのもそれに付加される体になつていたのだから。
「まぁ・・・ね。」
その体、そして迫り様を見たタツは満更でない顔をして微笑み返しそして受け入れる。タツを下に文聡を上に、朱に純白、2つの体は重なり・・・再び熱に染まる。赤蜻蛉はもう寝ている時間だった。