ボール冬風 狐作
「いいね?弓子、絶対あそこに入っては駄目だよ。何があっても絶対にね。」
「うん、わかったよ。お父さん。」
 土曜深夜の通勤電車、疲れに浸りきった体をロングシートに据えて目を半分にしながら、窓の外を過ぎ去って行くトラス橋の鉄柱を追っている内にそんな言葉を思い出した。この言葉を言われたのは・・・確か、今から数十年前。まだ幼く、何も知らなかった純真な時代、夏の暑い日の夕暮れ時、私はふと自宅近くの路上で共に歩いていた父親からそんな事を言われた。
 今思うと変な話だ、何に絶対入ってはならなかったのだろうか?その主語が何処にも見当たらない、ただあるのはあそこと言う代名詞だけ。そしてどうして入ってはならないのだろうか?それを示す言葉は1つもない、ただ入ってはならないの一辺倒。子供だからと言う事だろうか、まだ幼い成熟始めのか弱い存在、周囲の支えがなければどうなるか分からない時代・・・後の進路の基盤となる時代。私はふと現在からは遠く離れた時代の自分に言い聞かされたその言葉に異常な関心を抱いた。明日は休日、"あそこ"が何であったのか探してみるのも悪くない・・・。

 話は時代を遡る、弓子の生まれるおよそ10年ほど昔の事、その近所にある子供が住んでいた。その子供の名前は宮川幸久、6才の小学校に入ったばかりの活発で利発な少年だった。彼には多くの友達が居た、保育所の頃からの幼馴染、小学校に入って知り合った連中、公園デビューの頃からの付き合いの子・・・時には喧嘩もしつつ男女交えて彼らは楽しい日々を過ごしていた。
「おーい、ゆきひさ行くぞー。」
 そんなある日の事、幸久の姿はその複数の友達と共に自宅からそうは離れていない河川敷の広場にあった。そこで彼らは道具を持ち込んで野球をして遊んでいた、小学一年生のする野球であるのでレベルは低く、本当にお遊びであったがそれでも彼らは精一杯に頑張り、笑って走り弾けていた。
「じゃあ、また明日学校でね。」
「うん、それじゃーね。」
「バイバイ、お腹空いたなぁ・・・。」
 夏場で幾ら日が長くても時間の経過は変わらない。子供達は普段と同じく五時の鐘を聞くと三々五々、家が近い者同士が集まってそれぞれの方角へと帰っていった。無論、幸久も数名の中の良い友達と共に自宅近くまで行きそこで別れると、腹も減っていた事から一目散に駆け足で自宅までの残った直線を走り始めた。そして自宅直前にある角を曲がろうとした時、何たる事だろうか彼はバランスを崩して思いっきりその場に転んでしまった。幸いにして咄嗟に手を付いた為に顔面をぶつける事はなかったが、その半ズボンの下に見える膝小僧からには擦り傷が見え、薄っすらと血も滲んでいる。
「イタタタ・・・もう、何で転ぶんだよぅ・・・あっ!?ボ、ボールはどこ?」
 擦り傷があるとは言え然程の痛みは無く、むしろ打ち身による痛みで足を擦りながら彼はその辺りにぶちまけた野球道具を片っ端から拾い集めた。帽子、バット、グローブ・・・そしてボール。だがここである事が発覚した、最後のボールはあるにはあったのだが4つ持っていた筈のボールが何処を見ても3つしか無いのである。
"どうしよう・・・これお兄ちゃんから借りてきたボールなのに・・・捜さないと・・・。"
 脳裏に野球部のエースとして活躍する中学二年の兄の怒り顔が浮んだ幸久は、道路の脇に無事拾い集めた道具類を纏めて置くとボールが消えた唯一の先として考えられる、道端のガードレールをくぐった先にある沼地の中へとその小さな体で入り込んでいった。沼地の中は夏であるので葦等の水辺に群生する草達が鬱蒼と盛んに生えている。蛇も住むと言うその沼に彼はこれまで一度として立ち入った事は・・・冬以外ではなく、何とも見ているだけでもうすっきみの悪い沼地を、奥へ奥へと足元を見詰めながら顔をしかませて進んでいく。
"変だなぁ・・・何処に行っちゃったんだよぅ・・・困ったなぁ・・・。"
 半ベソを書きながら捜している彼には悪いが、ここで1つ彼の知らない真実を書こう。実を言うと彼が沼地の中へと落としたと思い込んでいるボールは沼地には無いのである、そのボールは先程まで遊んでいた河川敷の広場の隅にある、一段川に近く下がった水溜りの上に浮いているのだ。だがその様な事があろうとは彼は全くそう言った考えの欠片すらも脳裏には浮かべていなかった、そして焦るままに時間だけが過ぎていったのだった。

「・・・はい、そうですか・・・わかりました。では失礼致します、お手数をおかけしました。それでは・・・。」
「どうだった?」
「だめよ・・・深沢さんの所にもいないわ・・・何処に行っちゃったのかしらあの子は・・・。」
 沼地から徒歩数分も掛からない所にある家の中で、2人の男女が不安そうな顔をして言葉を交わしていた。宮川道孝と宮川裕子、何れも幸弘の両親である。時間は午後10時を過ぎた所、彼らは息子の幸弘が何時になっても帰ってこない事を心配して先程から息子の友達の家等、これはと心当たりのある所に片っ端から電話を掛けていたのである。しかし何処にも幸弘は居ない、家にはいませんと言う言葉と共に帰ってくるのは5時に河川敷でその方面の友達と帰宅していくのを見た、家の近くの十字路で別れた・・・と言う言葉のみ。そして、幸弘の兄である中学二年生の道裕が自転車で、その話から想定される帰宅順路に沿って彼を捜していたのであった。
「しかし何処にも居ないとなると・・・道裕からの連絡を待つほか無いか・・・。」
「そうね・・・全くようやく一年生になって少しは楽になるかと思ったのに・・・あの子ったら・・・。」
「まぁまぁそれを言うなって、まだ子供なんだ。俺だって子供の頃、魚釣りに言って道に迷って夜中に帰った事がある。その内ひょっこりと帰ってくるか・・・それとも道裕がつれてくるんじゃないか?」
「そうだと良いわね・・・それにしても、道裕何しているのかしら・・・。」
 道孝が裕子を自分の経験を元に励ますと、何時の間にやら捜しに出ている兄の道裕へと話の軸が移った。その事に少し道孝がホッと心を撫で下ろしたその時、机の上に置かれた携帯が景気良く着信音を鳴らし始めた。
「おっ誰だ・・・道裕からだぞ・・・もしもし?今何処に居るんだ?」
『あっ今、河川敷の広場なんだけど何処にも居ないぜ、幸弘の奴。何度も家と河川敷の間を往復して捜したけど・・・。』
 その言葉に道孝は大きな溜息を付いて、失望感をあらわにした。それを見た妻の裕子が再びやっぱりと言う感じで失望した表情をするのを見て、内心舌打ちつつも彼は続けて道裕に告げた。
「わかった、じゃあすぐに戻って来い。警察に連絡するしかなさそうだしな。」
『そうだね、それが一番良いと思うよ。じゃあすぐに帰るから。』
 そうして電話は切られた、恐らく後5分もしない内に道裕は戻って来るだろうと時計を見て彼は裕子に目で合図を送ると、今度は家の受話器を手にとって再び電話をかけた。かけた先は警察である。
「もしもし警察ですか・・・実を言いますと家の息子が・・・。」
 対応は迅速だった。最初のパトカーが家に到着したのは道裕よりもわずかに襲い頃、事情を聞いた警官はすぐに報告に回し翌朝を待って大規模な捜索が展開された。その結果判明したのは、家の近くの道路の隅に置かれた幸久の野球道具一式に、彼の足取りがその脇に広がる沼地の芦原の中へと消えている事だ。
 すぐさま葦原の中の捜索が行われたが、幸久の履いていた靴の片方が見つかっただけに終わりまたその臭いも葦原のど真ん中で忽然と耐えてしまっていた。結局警察は事件性があるとしてその後も大々的な操作を繰り返したものの、幸久の姿が彼らの前に現れる事は決して無かったのである。そしてそれ以来、その沼地へ子供が入る事はその近所では禁忌となり、わが子を心配する親達はその事を熱心に教え継いだのであった。

「ここは・・・どこ?」
 幸弘は戸惑っていた、自分の家の近所にこんな所が会ったのかと・・・。沼の足の中を体のあちらこちらに切り傷を作りながら歩いていたのに、気が付いたらあれ程までに生えていた葦は忽然と姿を消してその代わりに現れたのは、一直線に足元から続く石畳の道とその周囲に果てなく広がる鏡の様に平面で静かな湖であった。つまり足元の道は橋である訳で、柵も無い事から幸久はしばらくその場に留まって顔を端から突き出し、真に鏡の様に映す湖面に映る自分の顔を見て楽しんでいた。
 それでもある程度してくると流石に飽きてくる。飽きた彼はそのままその橋を前へ前へ歩き始めた、単調な風景であったが不思議と歩いていると心地よく、幸久は何時の間にか戸惑う事も忘れてアニメのテーマソングをもじった鼻歌を歌いながら歩き続けていた。
 しかし、幾ら楽しいとは言えどもそれでは満たされない物がある。それは腹の空き具合、考えてみれば昼食を家で食べて以来水一滴として摂っていない幸久は、その内に喉の渇きと空腹を感じる様になり始めた。水に関して言えば周りが湖であるのでそこから飲もうかとも考えたが、余りにも静まり返っているのでそこを乱すと何かが起きてしまいそうであり、まだそう言った感覚の発達途上であるにも関わらず幸久は直感的にそれを避け、この先に何かがあると信じて足を速めた。
「おなかが空いたよう・・・もういやだ・・・。」
 それから数十分後とうとう空腹に耐えかねた幸久は、突然橋の傍らに現れた待避所の様で柳の木が一本生えているだけの場所にへたり込んだ。そこだけは土であり、何だか心地が良かったが次第に酷くなる空きっ腹の訴えに負け、意識を失って倒れ込んでしまったのはそれからもう間も無くである。そして、幸久が倒れこんでから数秒後そよ風がその上を流れた。この空間における幸久以外の初めての動きであった。
カッカッカッカッ・・・
 そよ風が吹いて以来何の音も動きも無かったその空間に、再び音が聞こえたのはかなり後の事だった。見てみれば先程まで幸久が進んできた方角より、一頭立ての馬車が黒服に身を包んだ御者の操りにしたがって静かに橋の上を進んでくる。
「ちょっと止めて頂戴。」
 馬車は幸久の倒れている柳の木の下の前で止まった。馬車の扉が開き、その中から飛び出してくる黒い影、その影をした者は幸久を興味深く眺めると馬車の中へと合図を送ってその体を運び込み、自らも乗り込むと御者は言われるまでも無く、と言った風情で馬を動かし馬車は再び進み始めた。
カッカッカッカッ・・・
 次第にその音は遠ざかりそして薄くなって消えて行った。

「ただいま帰りました、お姉さま。」
「あら、案外早かったわね・・・どうだった?久し振りのあちらは?」
 2人の女の声が響く部屋の中、内装は純和風で彼女等の服装もまたそうである。
「えぇそれは勿論・・・すっかり様変わりはしていましたが存分に楽しめましたわ・・・お姉さまも行って見たら如何でしょう?」
「あら、私も?ありがとう五月、でも私は当分は駄目ね・・・お勤めがあるから、まぁ後半年の辛抱だから仕方ないわね。」
「それは残念・・・そうだ、帰り道に1つ面白い物を見つけましたの?御覧になられます?」
 姉であろう女は首を捻ってしばし考えると呟いた。
「見せてもらおうかしら、あなたの見つけた物を。」
「分かりました・・・大八木、あれをここへ。」
「はっ畏まりました・・・これでございます。」
 五月なる恐らく妹であろう女が脇にて控えていた男にそう言うと、男はすぐにそれを2人の間へ差し出した。興味深そうにその動きを見ていた姉は差し出された物を見て、目を丸くし大ei驚いた。
「五月、これは・・・また何と・・・。」
「そうですわ桔梗お姉さま・・・人間の子供でございますわ・・・珍しいでしょう?」
「そうね・・・で、これをどこで見つけてきたの?」
「橋の袂ですわ、中の橋の・・・柳の下です。」
「あんな所に何故・・・あぁそう言う事だったのね。あのお告げは・・・。」
と急に桔梗は天を仰ぎ見てそう口にした。自分が不在中の事でどう言う事かと五月が尋ねると桔梗は次の様に述べた。
「あなたが旅立ってから数日後、何時もの通りに朝のお勤めをしていますと突然脳裏に神が語り掛けてきたのです・・・曰く、先の願い叶えたり、好きな様に致せ。と・・・ほら、憶えているでしょう?旅立つ数日前にかけた願いを・・・。」
「あぁあの事ですわね・・・それではこの子が大麻呂の後継・・・。」
「そうよ・・・ふふふ、久し振りにあれが復活するわね・・・?如何しましょう、この子が目覚める前にしてしまいましょうか?それとも・・・。」
「してしまいましょう、説明するのはもううんざりですわ・・・全く・・・。」
と桔梗の言葉に五月はこれまでと比べるとやや粗野な調子で答えた。どうしてそうなったのか理由を知っている桔梗は顔を綻ばす。
「そうね、確かにあれは面倒ですね・・・では早速連れて行きなさい。私は仕度をしてから参りましょう。」
「わかりました・・・では大八木、行きましょう。」
「畏まりまして・・・。」
 五月は従者の大八木に幸弘の体を抱かせて、自分の後に付けて何処かへと立ち去って行った。その去っていく背を見た桔梗は何事かと用意をすると、1つに纏めてその後を追っていく。

「さてと始めましょうか・・・。」
「そうね、では。」
 五月と大八木が正座をしている前で桔梗は、板の間に置かれた直方体の石の上に寝かせた人間の子供・・・幸弘の体を前にして、かざした手を上下させつつその先に握られた小瓶の様な物の中から万遍無く全身に何かを降りかけていた。その様はまるでご飯の上にふりかけをかける様な感じである。振り掛けられた液体はその服の上に黒く染みとなり静かに溶かして消滅させる、体その物にかかった液体は特に反応を見せはしない。
 服があらかた溶け消えると桔梗は小瓶を別物と取り替えて、今度は躊躇無く上から垂れ流した。今度も万遍無く流すと、最後に何やら粉の様なものをパラパラッと振り掛けて自らもまた、五月や大八木と共に正座してその体を見詰めた。目の前に寝かされている人間の体は灯火の火を反射して、微妙にほんのりと赤く照らされている。永遠にも相当する時間が経ったと錯覚してしまいそうなほど待った頃、ようやく変化が現れ始めた。
「始まったわ・・・。」
「いよいよね、待ち草臥れたもの・・・どうなるか期待しちゃうわ。」
   彼女等の声を受けてか知らずか静かに体は音も立てずに変形していく、健康そうな小麦色をした肌はどこからか生え始めた毛に覆われ始め、顔も横から見ると三角形の様な感じに形を変えていく。毛の調子は肌に張り付くといった静けさは微塵も無い、むしろふっくらとした賑やかさがあり、その色もまたそうであった。薄い黄色に白、そして一部の濃い焦げ茶。顔を見れば三角耳に黒い鼻面、茶色の瞳、他を見れば腰から漏れる太いふっくらとした尻尾。
 その時まではまだ人の姿であった、だが人の姿をしていながら人でないものへと変わったその体は更に馴染むべく動きを止めない。手足が短くなり始めた、踵が伸びて胴もやや短めになる。体内でも内臓が動き、より相応しい位置へとその居場所を変えていくのだ。骨と筋肉とが動く音が響き、気を失っている筈なのに呼吸もやや荒くなったようだ。だが全ては一時の事に過ぎない、それらの動きが止まり固定化された瞬間、桔梗と五月は喜びの声を挙げて近付き大八木は静かに拍手を送った。
「これが新しい大麻呂ね・・・まだ子供だわ。」
「それが新鮮じゃない・・・じっくりと育て上げればいいのよ。」
「それもそうね・・・でも、もう立派よこの子のペニス、ほら。」
「あら、本当だわ・・・フフフ楽しみね、あら何時の間にやら私達もねぇ・・・。」
「そうね、嬉しさの余りね・・・ホホホホッ。」
 その時、その場にはまだ眠る一匹の子狐、幸弘が転じたもの・・・と2人の和服を身に纏い尻尾を垂らす狐人の姉妹、そして少し離れて白い毛の角を生やした山羊の男の姿があった。

 彼女等の正体、それはこの世界に巣食う妖狐の一族。妖狐と言えば九尾の狐が有名だがその九尾の狐も彼女らの一族の一員である。とは言え基本的に個人主義的な考えの妖狐達は幾つかの小グループに分かれて活動する事が殆どで、九尾の狐の場合でも人間界へ干渉する事を楽しみとする一派に属しており、この本来の居場所である妖界に留まってその本文を生かして行こうと言う彼女等の属する一派と実質的に違う立場の者であるのだ。
 そして人間の文明が進歩して行く内にかつては主流であった干渉主義の一派は次第に勢力を縮小させ、いまや妖狐族の中の実権を握っているのは妖界主義の一派、そしてその中心的存在であるこの神殿を護るこの姉妹の一族が全てを掌握していた。とは言うものの幾ら立場を異にするからと行ってその性質が異なると言う事は無い、どちらも天性の神通力を行使するのと同様に人に対する考え方や見方もまた酷似している。つまり妖狐族にとってはなんやかんや言っても人間と言うのは所詮、効率の良いエネルギー供給源に過ぎない。
 故にこの神殿の一角には遥かな昔に捕らえられてこちらに連れてこられた人間や、誤って落ちてきた人間の子孫が家畜としてその体を改造されて飼育されている。この点に関しては別の場を設けようと思うが、それとは別に呈の良い玩具としてもよく利用される事を忘れてはならない、そしてそれは往々にして代々伝えられる事が多く、彼女らにとっては"大麻呂"と言う名前で人間由来の玩具が伝えられていた。しかしながら、こちらも幾ら手を加えて寿命を長くしていたとしても限界はあり、彼女らに引き継がれた大麻呂はその時齢300才余りにして、最初の大麻呂から数えて8代目に位置するものであったのである。
 そしてそれはつい先日、とうとう寿命を迎えて死んだ。そこで現在、家畜の子供の中から良いのはないかと探していた所で幸久を妹の五月が拾った事で何も知らないまま幸久は、彼女らに彼女等の楽しい玩具として相応しい体に造りかえられてしまったのだった。ちなみに先代の"大麻呂"の容姿は犬であったので、その姿を決めるのは元となる人間の本質に由るのであろう。

"・・・うっ・・・うん、あれここは・・・ってアッハァ・・・なっ何?これ・・・えっ僕何してるの・・・!?"
 幸久が再び意識を取り戻したのは更に数日過ぎたある日の事だった。ボーっとした頭に体から間も無く伝えられたこれまで感じた事も無い気持ちよさ、余りの強さに戸惑って見て見ると自分の下には何と見慣れぬ人・・・の様な姿。それが何であるのかと思う間も無く、まだ幼いその精神は確実にその動きから来る刺激により、急速に蝕まれ味を覚えて狂って行った。
"なに・・・こ・・・れ・・・ぁぁい・・・やや・・・でも・・・だ・・・め・・・気持ち・・・いぃぃぃよぉ・・・あっ・・・はぁあは・・・い・・・ひぃぃい・・・。"
 その後、彼がどうなったのかを私は知らない。


 完
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