「よう、元気だったか?」
私が駅構内の何時もと変わらないベンチに座って、目の前を通り過ぎていく電車を見ながら待っていると折りしも反対側のホームを発車していく電車から降りた彼が、三坂修司が何時もと変わらぬ調子で手を振りながら私の元へと現れました。
「元気に決まってるじゃない、修司。じゃなきゃここにいないわよ。そう言う修司こそ、大丈夫なの?」
「あぁご心配なく、この通りピンピンしているさ・・・。さてと、今日は何処へ行く?あぁそう言えば、以前見たいとか言っていた映画は見たのか。確か、今日明日までの上映の筈だったから見てないのなら見に行かないか。」
「あっうっかり忘れていたわ。ありがとう修司、まだ見てないのよ。この所提出する論文作りに追われていて・・・早速見に行きましょ。」
「わかった、じゃあ行こう・・・しかし大丈夫なのか。」
「何が?」
歩きながらそう呟いた修司に対して、咄嗟に思い当たる事の無かった私は疑問を浮かべた。何かその様な物があったかと。すると修司は呆れたような顔をしてこう答えた。
「何がって・・・ほら、論文の事。聞いた限りでは大分忙しいようだけど、そんなに自分に俺と遊んでいて良いのかい?ふと思ってね・・・。」
「あら、そんな事・・・大丈夫、その忙しい元凶の論文は一昨日完成して提出したから。昨日から当分の間は夏休みよ、まぁ週の半分は研究所へ顔を出すけど論文書くとかそう言う事は無いし・・・だから大丈夫よ。さっ行きましょ、楽しい事はこれから待っているんだから。」
「そうだねって・・・おい!?何してるんだよ?」
「えっなー・・・。」
ピーピーピー・・・係員をお呼び下さい・・・係員をお呼び下さい・・・ピーピーピー・・・
「如何しましたか?お客様?」
話に集中する余り、私は恐らく自動改札機へ切符とは別の何かを財布から出して入れてしまったらしい。その証拠に財布の中にはこの駅まで乗って来た切符が残っており、その代わりにその隣に入れておいたずっと以前に、修司と出かけた時の記念として入れて置いた寝台特急の切符がなくなっていたのだから。そして、青ざめる私と一体何をしたのかと言う事で冷や汗を垂らしている私達の前に、訝しげな表情と共に満面の作り笑いを浮かべている駅員の顔があった。
「全く、そんな物を入れていたのか・・・佳奈美らしいや、ククク。」
それから数時間後、映画を見終えた私と修司は駅近くの落ち着いた感じの、比較的賑わいつつも何処か静かな居酒屋に座って杯を交わしていた。
「何よ・・・それは笑える話だとは思うけどさ、そんな物って酷くない?」
「ごめんごめん、いやそう意味で言った訳じゃないよ。むしろ俺は嬉しく思うね、うん。だってそれだけ俺の事を思っていてくれるということだろ?そこまでしてくれるなんて今時貴重だし、それに嬉しくて男冥利につきるからさ、感謝の意味で言っているんだよ。わかってくれい。」
修司はどこか笑いながら祈る様な感じで私に言ってくる、私はこんなある意味必死な修司が好きだ。だから惚れているのであり、付き合っているのであり私は頬を綻ばした。
「なるほどね・・・じゃあもっとストレートに言いなさいよ。それじゃあ誤解されるわよ、本当・・・お詫びとして今夜良いよね?」
「もちろん、言われるまでも無く空いているさ。何たって自由業だからな。」
「フリーターって言いなさいよ・・・自由業って言うと聞こえは良いかも知れないけどね・・・。」
私は一人笑う修司をグラス越しに見つつ、底に残っていたビールを飲み干した。グラスから見るちょっと歪んだその顔を見ていると、私も心なしか何処か暖かくなりそっと微笑を浮かべた。
そんなかんやで数軒梯子した私達は、終電も出てしまった事からどちらかの自宅へ向うのを諦めて、時たま使っているホテル・・・とは言え、ラブホだがここからそう遠くは無いので酔いの勢いもあって元気良く話をしつつ、ホテルへと入り客室に入った。互いに体を洗うとさて始まり始まり、久方振りの楽しみが始まる。
最初の姿勢は何時もと同じ、修司が下で私が上。コンドームを被りはちきれんばかりに膨らんだペニスへと私は静かに腰を下ろす、ぐっと来る感覚・・・自らの体重がそのまま重力へと跳ね返り狭い膣の中をペニスが静かにつき上がって来る。この感覚は何度味わっても背中がぞくぞくとする素晴らしいものだ。そして上下する腰、ペニスは出たり入ったり前戯で漏れた愛液は洪水となってペニスを包むコンドームを湿らせて、大腿部を密かに流れていく。
騎上位の後は後背位と様々な体位を繰り返し楽しんで行く内に夜は明ける、心行くまで楽しんで朝日の下へと再び2人して姿を出して、また何処かへと遊びに良く。何とも楽しい夜ではあったが私は1つだけ不満を感じていた、それは修司のペニスを直接味わう事が出来ない事、つまりコンドーム越しにしか互いの体温を味わう事が出来ない事だ。これは恐らく修司も抱いているのだろうと思うが、勿論私は望まない妊娠を防ぐ為や性病予防などの対策としてコンドームを付けるのは当然だと考えている。しかし一度位は彼のペニスを混ざりっけなしで直接受け入れて、その精液を私の子宮へ注がれてみたいし口でフェラだってしたい。
でも彼の場合それは厳禁であった、これは色々な事を見知っていると自認する私自身が最も驚いた事なのだが、彼曰く自分の精液は他人に飲ませたり注ぎ込んではならないのだと言う。ふと色々と思った私は彼に対して失礼であり、幾分傷付けてしまった向きはあったと思うが尋ねてみると、修司は聞いた事で決して後悔しない様にと言い含めた上で驚くべき真実を私に話したのだ。これには本当重ねて言うが私は驚いた、思わず聞き返しもした。だがそれは間違う事の無い事実であった。
「俺は・・・人じゃない。獣人だ、人と獣の相の子なんだ。」
その時の苦悩と安堵感に満ちた修司の表情と口調、内容を一生忘れる事は無いだろう。仮に将来別れる事があったとしても別れる事は無い、死ぬその時まで記憶し続ける筈だ。そしてその言葉は私を決して彼から遠ざけはしなかった、むしろ近づけたと言って良いかも知れない。獣人・・・人と獣の相の子、人でもあって獣でもある存在・・・私はその言葉に惚れた。その言葉の言う彼自身の存在に惚れてしまったのだ、元々私の一目惚れから始まった恋だったがそれによってその関係は、私自身を更に傾倒させた上に双方が秘密を、重大な秘密を共有しあうと言う稀に見る強い関係へと発展を遂げたのである。
しばらくの後、私は修司に懇願してそのもう1つの彼である獣人と言う姿を見せてもらった、その姿の修司は何とも逞しくそして神々しくも見えてますます関係を深めさせる契機となり、今に至っているのである。そして今回も数日に渡って共に過ごした私達は、またの再会を確認しあって別れた。別れる事はまた会える確証があるとは言え悲しい事、しかしそれでは何時まで経っても進めないのだから・・・と言い聞かせて私は昼下がりの電車に揺られていた。
さて少し前に述べた様に私は今夏休みの真っ最中、研究所へはたまに顔を出すとは言えそれ以外は基本的にヒマだ。と言う訳で私は単身海外へと飛んだ、アジアを中心に幾つかの国を2週間を掛けて巡り色々な産物を見て私は帰国した。ある重大な手土産をスーツケースの中に仕舞って私は帰国したのだった。
その手土産を手に入れたのは旅の丁度半ば頃、日本人にとって色々と名の知れている国の中でも外国人は余り立ち寄らないと言われる地域。私はそこにあるという現地宗教の荘厳な寺院を見学しに訪問した、院生として流体力学の研究に取り組む私だが趣味としてそう言った歴史や宗教には興味がある。伊達に高校時代、理系でありながら文系を押さえて社会系科目で名を馳せたのはそう言う事もあっての事であった。期待に胸膨らませてその寺院へと行って、その一角にある恋愛関係の神を祀った廟に私の念願の想いを託し、すっかり得られた様々な収穫に満足しつつ事前に予約しておいたその町のホテルへと投宿した。
その夜、熟睡している私は何やら夢を見た。寝る度に夢を見るのが当たり前の私にとって別段珍しい事ではないので、その詳しい内容は覚えておらず漠然としたものだが、とにかく私はその夢の中で何やら偉そうな人から何かを渡された。どうしてその様な者を渡されたのかは分からなかったが、とにかくくれると言うのでもらいその使用方法を聞いて甚く感動し、感謝をしている内に目が開いたと言うのがその流れである。
夢だったのかとしばしボウッとし、何の気も無しに布団の中から両手を引きずり出した私は驚いた。何故なら、その手首には昨日寝る時には全く気が付かず、その上覚えも無い銀色に輝く金属のリングを巻いていたのだから。そしてそれは夢の中で渡されたものその物だと、はっきりと覚えていないというのに私は直感した。こう言う直感は大抵当たるものである、私はそれを素直に受け入れて大切にティッシュで包むとスーツケースの中へと仕舞いこんだ。
そしてそれを手に入れてからの道中と言うもの、私はこれまでに無く万事無障で通過する事が出来た。スリに会う事も無く、税関で引っ掛かる事も無く、釣銭を誤魔化される事無く、外国人料金を払って手に入れた列車の一等車の座席がダブルブッキングで現地人に座られている事も無くて、本当これまでに無くスムーズに楽しみ移動できたものだった。自宅へ帰りついた私は一日休むと、その銀のリングを鞄に入れて何時もの駅へと待ち合わせの時刻に遅れぬ様に家を出たのだった。
駅で前回と変わらない様子で再会した私達は一時一時を楽しみつつ、早めに駅を出て私の家へ向った。買って来たお土産を分ける事もあったし、この所彼の家にばかり行っていたのでたまにはと言う事もあっての行動である。私の自宅へと上がらせると居間に座らせて、一先ずお茶とお土産に買ってきたお菓子をつまみにしばし歓談すると、私はあの銀の輪を彼に見せた。
「これは・・・何とも綺麗な腕輪だね・・・どうしたんだい?」
銀のリングを首輪と呼んでその1つを摘み上げて眺める。そんな姿に喜びつつ、私はその出所不明なリングを適当に占いに行ったらもらったと言い繕ってその1つを修司にあげた。修司はとても恐縮した様だったが右手首へとはめたので、私も残りの1つをそれとは逆の左手首にはめた。どうしてそうしたのかは知らなかったが、私は左利きであった事もあったし修司の右と私の左で一心同体・・・その様な事が不意に頭を過ぎったからかも知れない。
とにかく、そうしてその場は満足していると突然、今日は修司の方から夜は如何?と尋ねて来た。どちらかと言えば夜の事に関しては私が主導権を最初から最後まで握り、修司はそれに釣られて来ると言った向きでこれまで推移していたのだが今日は逆なのである。私はそれに一種の戸惑いも感じはしたけれど、どちらかと言えば積極的なその姿勢に喜んでいたのだった。
「どこでしようか?」
「香苗の良いと思う所で良い・・・この家の中のな。」
そう言われたからには私は広くて余り使っていない、和室を使う事に決めた。彼の家と言いホテルと言い、基本的にベッドの上ばかりなのでたまには和式に畳みの上の布団も悪くない、と思ったからであろう。すぐに用意をして、シャワーを浴びると準備は完了。そこからは何時も通りに騎上位からの展開が成されるはずだった。
「フェラしても良いぞ・・・したいって前々から言っていたからさ。」
「えっ良いの?駄目じゃないの?」
「今日は大丈夫な気がするからさ・・・何かあったら面倒見るから如何?してみないか。」
「・・・分かった、そう言うのならやろうか。ありがとう修司、私嬉しいよ・・・じゃあ行くよ。」
「あぁ何時でも来てくれ・・・して大丈夫だから。」
そう言い寝転ぶ彼の体とは対照的に登り竜の如く天を突き刺すそのペニスは、コンドームを被っていないペニスは何とも新鮮な姿だった。これまで幾度と無く修司のコンドームの被せられたペニスを見て、味わって来たものではあるがその被っていない自然体のペニスは新鮮の二文字以外に表しようがなかったのである。そして私はそれを静かに上から含み、念願のフェラを始めたのだった。
私にとって彼にとっても史上初めてのフェラが達するのにそう時間はかからなかった。この2週間強、溜め込んでいたのであろう私はその何時もより多い精液にて口の中を腹の中を、そして漏れた分によって口周りを白く染め上げた。一般に精液には味は無く不味いと言うが、私にはそれが最上の蜂蜜も敵わぬ優れた甘露の様に感じられた。デフォルメはされている事は重々承知している、それでもそう思わざるを得ない、いや当然と言う心境が私の中で出来上がっていた。
フェラですっかり解されると、次は何時も通りに騎上位、正常位と楽しみ続けた。不思議と今日は疲れを感じない、やればやるほど勢いが増して来る様でこれまでには無かった感覚であるが、お陰で時を気にせず私と修司は交わりを続けた。そしてもう何度目かわからない騎上位に入ったその時、私は膣へと挿し込まれる感触に違和感を感じた。
"あれ・・・何時もより、太い様な・・・あれ?こんなに入った・・・の?えっでも入る、行ける・・・面白い・・・。"
今思うとその時に全ては既に始まっていた物が外に現れ始めたのだった。早々に銀のリングは2人ともその皮膚の中へと沈み込むように姿を消し痕跡すら残していなかった。目で一瞬その事は度々認識していたにも関わらず、その度その度に忘れていたのは事実であり気のせいだろうとも思っていた。だが思えばそれが全ての前兆だったのだ。
そしてその効果は真っ先に互いの性器へと表れていた。まず最初に感じた感触の違和感は、修司のペニスが太く長く伸び雁が半ば消滅して亀頭と竿との一体化が進んでいたからだろう。そして次に感じたものは、私の膣と子宮が伸びて矢張り巨大化していたからだと考えられる。その2つの変化から生ずる刺激に私達はすっかり酔って交わり続けた、それは更なる変化を連鎖的に起こし深めるきっかけとなり、性器がすっかりほぼ完全に変化を遂げた頃今度はその周りへと波は広がった。
ただ対照的な事に元来獣人である修司は、比較的スムーズに手早くその姿を変えた。香苗の下で満足げな表情を浮べ、自らのペニスを貪らせるその姿は青斑毛の馬、馬と人とが混じりあい合わさったいわゆる馬人の姿である。道理でペニスが長く太くなった訳だが、今だ香苗はそのペニスを殆ど人のままで受け入れていた。そして始めての直接の射精を経験する事で、彼女の変化も性器に留まらず他へと拡大する。
余りに濃く多量の精液に変化したとは言え、他の部位の為に十分にその能力を生かし切れない性器は膨らみ、やや外からもその膨らみ具合は少しだけではあるが見ることが出来た。体の随所に島の様に密集し始めていた産毛は一気に色を以って拡大し、その小麦色の肌を覆い隠す。色とは即ち鹿毛でどちらかと言えば明るい、それは静かなままに彼女を覆うと骨格が動く。骨の形が代わり併せて筋肉が動き併せて厚さを変えて一段落した頃にはすっかり人とは全く違う、修司と同じく毛色が違うだけの馬人と大部分は化していた。
だがまだ続いており、尻尾の毛が噴き出す様に尾てい骨の辺りから現れるとその黒い尻尾は、腰の辺りのアクセントとして修司の足の上へと散り垂れる。そして続く、肘や膝先の部分の毛の黒色化、これは鹿毛の特徴のひとつであり見事に染まり、指先や足も蹄化が完了し黒光りしたそれがそっと輝く。足の場合は踵が伸びているので、それと併せて尚更目立っている。乳房は元からの物に加えて、へその下辺りの左右にそれぞれ2つ控えめにやや盛り上がった乳房とその上の乳首が形成されていた。
「あっあぁぁヒイィィィーンッぁあぁぁぁっ・・・!」
そして香苗の変化が終わると共にそれを定着化させようとする意志が働いたのか、修司は又も精をその環境の整った子宮へと放った。そして部屋には人の喘ぎ声と馬のいななきがこだまし、再び微かな淫靡の音以外には静寂が後に残されたのだった。
それからの後、私と修司は色々と紆余曲折ありましたが、相変わらず中の良い恋人として付き合っていました。そして私も大学院を卒業して一端の研究員としての地位を得、また修司もようやく気に入った定職を見つけた事で今結婚する準備を進めています。式は何時になるかは分かりませんが、それを楽しみに日々を過ごし夜を楽しんでいる次第です・・・獣人と人とを行き来する生活、最初は大変かと思いましたが今はその様な事はありません。満たされた日々を存分に私は満喫しています・・・。