一月の宴冬風 狐作
「いらっしゃいませ。」
 光り輝く大都会の一角の大歓楽街、昼は普通でも夜は多くの人々を飲み込む魔境であるその街には俺と同じ様な仕事帰りに一杯やっていくかと言う様な連中でひしめいていた。その様な連中は表通りに面した、ペンシルビルの店に入っていく。無論、一ヶ月前までの俺もそうだったしかし今日は違う。今日はそんな物には目もくれず、一人黙々としてそれらのビルの間の狭い路地へと足を運んだ。生ゴミや廃棄臭の漂う人気の無い路地を抜けて裏通りへ出る。寂れた裏通りもまた、歩くの人の姿はまばらで寂しいが更にそこを進み、あるおんぼろのビルの前で足を止めた。そのビルは落書きと張り紙だらけで、一目見ただけでは廃墟にしか見えない。しかし、良く見ると脇の路地を行った所の通用門の上には小さな看板が光っているのが判る。「ZOO」と白に黒字で小さく書かれたその名前がこのビルに入っている店の名前だ。

「高岡です。」
 扉を開けるとその場で迎え入れた店員に俺は会員カードを見せる。それを一瞥した店員は軽く会釈をして続けた。
「本日もご来店ありがとうございます、高岡様・・・本日はどの様に致しましょう?」
「今日はそうだな・・・Cコースで頼もう。」
「分かりました、Cコースですね。では、お荷物はこちらで預からせていただきます。」
「はい、もちろんですとも・・・。では、15へどうぞ。」
 店員に荷物とコートを手渡して身軽になった俺は、店員に促しに答える事無く慣れた足取りで幾つかあるドアの内の「C」とだけ知るされたドアをくぐった。
 ドアの向こうには直線の1つの廊下が続きその回りには一定の間隔を持って扉が配置されている。俺は店員に言われたとおりに「15」と書かれた扉をノックした。すると中から小さく返されたので、俺は室内へと踏み込んだ。

「こんばんは、高岡様。」
 室内には1人の少女、カナちゃんが僕を待っていた。とは言え、彼女は人ではない人と獣とが混ざった生物、俗に言う獣人という存在である。彼女の場合は人と犬、柴犬が混ざっているので白にやや黒味かかった薄茶色をしている。
「こんばんは、カナちゃん。今日もよろしくね。」
僕は明るい声でカナちゃんの隣に座った。
「早速しますか?」
「うん、そうしよう。」
カナちゃんは非常に積極的だ。いつもこちらが先に切り出そうとしても必ず、自分が言わないと気がすまないらしく、今ではいつも彼女のペースに最初は任せている。僕が全て服を脱ぐとまずは彼女と深くキスを交わす。獣人である彼女と人である僕とでは顎の長さが違うのでどうしても付け根から、2人の涎が下へと垂れる。でも、僕も彼女も気にしないそももそこれからどうせ汗や精液で全身を汚すのだから、気にすることは無くそれに何だか僕にとっては人以外とのセックスと言う、本来なら有り得ないことに対しての期待感や背徳感によって気持ちを高ぶらせる事が出来て前座としては最高の事であった。
 たっぷり互いの舌同士を絡めせて胸元をベトベトにして口を離す。互いの絡み合った涎の橋を見ることで更に気持ちは高ぶってきた。そして、うっとりとした表情を見せながら彼女は静かに回ると僕の顔へと尻を突き出してきた。突き出された尻を僕は掴むとワギナに顔を密接させて舌で一舐めした。彼女のワギナは人と獣の中間であるせいか、実の事を言えばこんな事をしなくてストレートにしても十分な柔らかさを持っている。しかし、どうもこうしないと僕もそして彼女も気分を高められないので習慣となっていた。舌が一通りしただけで否応なしに軽く彼女は体を振るわせた。当然僕も毎度の事ながら舌先に当たる獣毛の感触が何とも言えず、自然にペニスに力が込み入り始めた。舐めれば舐めるほどワギナの中からは人間の女では感じる事の出来ない、濃厚な思わず気を失うかと思い酔うほどの香り、いわゆるフェロモンとか言う奴だろうか何かが愛液と共に噴き出して来る。その度毎に僕は興奮の度合いを強め、そして彼女も体温を上げ息を荒くしていく。
 ワギナが彼女自身の分泌した愛液と僕の唾液とによってすっかり柔らかくなり、大腿部の内側の獣毛がそれらによって濡れそぼった頃、僕は舌を外した。
「もっとぉ・・・。」
彼女が名残惜しそうな声を出す。しかし、僕は先程からはちきれんばかりに膨らんだペニスを手に取って彼女のワギナへと照準を合わせていた。
「大丈夫・・・もっと良いのが行くから・・・。」
 そして僕は一気に彼女のびしょ濡れとなった柔らかいワギナへペニスを突き刺した。ペニスは水を得た魚の様にススッと何の躊躇いも見せずに、膣の中を突き進み走った。
「あっ・・・はあっ・・・あうふぅ・・・。」
進む度毎に彼女は小さく、そして大きく息を吐いた。ワギナを舐めていた頃と比べると幾分、体が小刻みに震え始めていたが、こんなのはまだ序の口である。僕はまだ、これから来る事を思ってペニスに神経を集中させ、入れる所まで入れるとピストン運動を開始した。
バァコ・・・ブァコ・・・バコッ・・・。
 粘液が絡みあった中をペニスは行きつ戻りつを繰り返す。その膣の中は、これもまた獣である所以か色々と人とは勝手が異なり、ある程度まで行くとペニスを離さない様にそして止めない様に上手く蠕動し、そしておうおうの括れがカリや亀頭を複雑に刺激する。刺激が来る度に僕は本能のままにその速度は上げていき、より強い快感を模索し求めた。3日間溜めた精液はもう睾丸から爆発しかけていた。
"そろそろ・・・く・・・来る・・・。"
ドバァッ!ドバッバッ・・・!
「・・・アッ、アァァッ・・・!」
「おっオゥゥン・・・アォウゥゥゥ・・・!」  限界を悟った時、とうとう堰は破れて精液が大洪水の如く彼女の膣内へ放出された。僕は母音の、彼女は犬らしい共に声にはならない思いのままの叫びを口にして、イク。一度イッてしまうとあとはもうすぐにイクようになる。その後も交わり続け、正常位で5回、騎上位で4回、そしてフェラで2回僕は精を放出して果てた。ここまでの回数も交わり続けたのは始めてであったからだ、普段なら正常位か騎上位のどちらか単独で3回、フェラで数回出す程度であったので自分でもここまで出せた事に驚きを感じていたのであった。

「今日の高岡様、いつもよりタフですわね・・・。」
「そうだ・・・ね・・・確かにそうだ・・・自分でも、おどろき・・・だよ・・・。」
 獣人である彼女と比べると体力や精神力の低い僕はすっかり天を仰いだ格好で、ベッドに寝転んで息を吐いていた。彼女はその横に腰掛ける形で僕をその優しい瞳で見下ろしている、ワギナからは僕が注ぎに注いだペニスが愛液と共に垂れて床を、そして精液によって彼女の自慢の獣毛はすっかり台無しになっていたが、彼女がそれを気にしている振りはなかった。最もいつもの事ではあるが・・・僕もまた汗と自らの放った精子の飛沫、そして彼女の唾液と愛液とでびしょ濡れであった。
「もう一戦やりませんか・・・?」
 しばらく静かにしていると急に彼女がそう僕に言った。僕は疲れていた事や翌日の仕事の事も考えて断ろうとしたが疲労のせいか上手く声が出ない。何も答えないでいる僕を見た彼女は、てっきり僕が同意したものだと思い込んで、まだ体力の残る自らを動かしワギナを僕の顔の上に載せてシックスナインの姿勢を取った。
「どう、きれいでしょう・・・わたしのあそこ・・・さぁ、舐めて頂戴・・・お願い・・・。」
「あ・・・はい・・・。」
 僕は彼女の言うままに顔に載せられたワギナへ、自分の精液と彼女の愛液の混合物を浴び飲みながら下を伸ばして舐めた。不思議と断る気は起きず、その上そのワギナより流れてくる液体を口にすればするほど不思議と体中に力が漲って行く・・・そんな感じも受けたので、最初よりも激しく舐めた。そして彼女も僕のペニスに対して、舌先を巧みに用いた巧妙なフェラをしてまるで膣内にあるのかの様な錯覚を受ける刺激を強く与える。
ドビュ・・・ピュッ・・・。
 再び僕のペニスは精液を彼女の口の中に吐き出した、それを受けた彼女はまるで掃除でもするかのように精液の通過した尿道と亀頭を丹念に舐め、舌を窄めては尿道の中へと突き刺し唾液を押し入れた。これは初めての未知の行為であり、余りの気持ちよさに僕は思わず悶絶して意識は白濁した。思えば、この普段とは違う行為こそがあれの始まりであったのだろう。とは言え、もう何もする事は出来ない。

「ありがとうごさいました・・・如何でしたか?今日は?」
「あぁ・・・素晴らしかったね。文句無しに良かったよ。」
 帰りがけ、帰り口で店員から入店時に預けた一切を受け取り、身につける。
「それでは、また来るよ・・・。」
「わかりました、またのお越しをお待ちしております。」
 そうして僕は日常世界へと帰った。冬の朝5時はまだ薄暗く、人通りも疎ら。僕は静かに駅へ向かう。
"今日は楽しかったせいか、何だか体が軽いなぁ。"
そう思いつつ、電車に乗り込んだ。今日の出社は午後2時から、それまでの間は家で仮眠を取るために朝帰りをした。1人暮らしをしている僕に文句を言う人は誰もいない、近所の人には残業と行っておけばいいだけの事だった。そして、家に帰りつくと風呂に入ってしばしの眠りに就いた。

ジリリリリ・・・・!
 けたたましくなる目覚まし時計、目を覚ました僕、疑問を感じた視野・・・茶色と白の斑の獣毛に覆われた体・・・鏡に映る長い耳と変貌した顔、そして臨戦状態のペニスに丸い尻尾・・・そこには1人のウサギ獣人が鳩が豆鉄砲喰らった様な目をして佇んでいた。


 完
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