いつもならこの時期には気持ち良い位の晴れ間が広がっているのに、窓から見える景色は真っ黒な空と落ちる雨粒に塗りつぶされていた。
ニュースによると珍しく台風がこの地域に接近するそうで、朝から雨脚は少しづつ強くなっている。

「はあぁ〜〜〜〜〜〜…」

俺は頬杖をつき思わず盛大な溜め息を吐いた。
三角形の耳は頭上でペタンと項垂れている。
溜め息を吐いた所でどうにもなるもんじゃないってわかりきってるけど吐かずにはいられない。

「全く…いつまでそうしてるつもり?司」

後ろからの呆れた様な声に振り向くと、コーヒー片手にソファに座っている馬獣人がこっちを向いて苦笑いを浮かべていた。
耳を項垂れたままに、思いっきりぶすっとした顔で振り向いた。

「だってさ〜総司の久しぶりの休みなのにどこにも行けないなんて………」

頭どころか尻尾まで項垂れた俺の様子を見た総司は手に持ったコーヒーをテーブルに置き、その手でソファの空いてる部分を数度叩いた。
呼ばれた通り総司の隣に座ると、総司は優しく俺の頭に手を置いた。

「こうやってゆっくり家の中で過ごすのもいいじゃない。それに司とこうして過ごせるだけで俺は十分満足だよ」

「………!!!」

尻尾が総司の言葉に反応して、思わず顔を赤らめる。
優しい笑顔の総司を上目で見つめながら、ゆっくりと細身の身体に体重を預けた。
布越しに伝わる総司の体温が心地良い。
総司はそのまま俺の頭を赤ん坊をあやす様にゆっくりと撫でる。
細身の体から伝わる大きな安堵感に包まれて、自然に俺の瞼は落ちていった。

「司の身体、やっぱりおっきいね。それに…重い」

「ごめんごめん。でもさ、久しぶりだしもうちょっとだけこうさせて?」

瞼を開き、総司の目を見て言うと鼻頭をごしごし擦り付けた。

「もう…しょうがないな〜」

口から出る言葉とは裏腹に、総司は優しい顔で言うと再び俺の頭を撫でた。
俺はいたずらっ子のような挑戦的な表情を浮かべながら、頭を撫でる総司の瞳をじっと眺める。

「俺、こうやって総司といるだけで幸せ…」

そう言っていきなり面長の総司の鼻先を軽く一舐め。
一旦顔を離してお互いをじっと見つめ合う。
お互いに顔を寄せ合うと、首を傾けキスを交わした。
お互いの舌が絡まり、互いの口内をこれでもかと言うほど貪る。
くちゅくちゅと粘着質な音が降り続く雨の音と一緒に聞こえる。
雨脚は烈しくなったみたいだ。
どちらとも無く口を離すと俺達の間に水粒が一粒、滴り落ちた。
そしてまた、吐き出す息を感じる距離で俺達は見つめ合う。
さっきと違って総司の眼は微睡み、潤んでいた。

「……いいよ」

何も言わずとも次の言葉を汲み取った総司は息を荒げながら応じた。
堰を切った様に俺は動き出した。
総司の隣に座り直すと、シャツの下に隠れる栗毛色の体毛の生えたしなやかな肉体に手を這わせ、耳を甘噛みする。
呼吸に合わせて上下する胸をゆっくりなぞると総司は身体を震わせた。

「総司の身体って触り心地良いよね。毛がすべすべしてる」

「司だって…ふかふかしてて気持ち良いよ…」

耳から口を離すと総司が俺の頭を撫でる。
お互いの体毛の感触を楽しみながら、短いキスを何度も交わした。
徐々にお互いの身体を撫でる手に力が入り、力一杯相手の身体を確かめ合う。
総司の上半身を覆う邪魔な服を脱がせ、俺も総司が触りやすいようにと自らシャツを脱いだ。
今や俺達は抱き合い、手だけでなく体全体でお互いの存在を確かめ合っていた。
総司の細身ながら筋肉質の体が俺の隆起した筋肉と触れ合い、温もりを伝える。
俺達の口からは短い喘ぎ声が漏れ始めていた。

「うぅん……ぅぅ…はぁぁ…………」

息と一緒に吐き出される、やや上ずった声がより一層俺を興奮させる。
そして今まで上半身だけを愛撫していた手を総司の下半身に滑り込ませた。
そこにあるのは一枚の布を挟んでも分かる程、熱を帯びた一物。
パンツの上から一物をこねる様に愛撫すると総司は今までよりも一際大きな声を上げた。

「ああぁ!……だめぇ…」

「どうした?止める?」

股間をまさぐる手を止め尋ねた。

「………だめ…止めないで…」

「じゃあ総司はどうされたいの?止める?続ける?」

「………直に…触って…」

恥ずかしそうに顔を俯きか細い声で答える総司。
それを聞いて俺はくすりと笑うと総司の鼻先をまた一舐め。
湿った鼻先は、ほんのりと甘い様な気がした。
俺はソファから腰を外すと総司の足を抱え込みそっと俺が座っていた場所に置くと、
総司のズボン、下着に手をかけゆっくりとそれらを脱ぎ下ろした。
布切れに抑圧されていた、俺より一回り大きな一物が姿を現す。
総司の望んだ通り立派なそれを手に取ると、ゆっくり手を上下させた。

「気持ち良い?」

「んんぅ…!気持ち、い、ぃ…!」

一物からは先走りが溢れ、それに呼応する様に俺の手を動かす速度も速まる。
手で一物を抜きながら、長いマズルを胸元に近づけ薄ピンク色の乳首を舐め回した。

「あぁ!ああぁん………っ!!!」

時に焦らす様に周囲を、時に舌で転がす様に乳首を責める度、下半身の刺激も相まって総司は嬌声を発し快感に頭を震わした。
そして乳首を甘噛みした時だった。

「ぁ、だめ…!!!」

言うが遅いか、手の中の一物から白濁液が勢いよく吹き出し栗毛色の毛を白く染め上げる。
一部は俺の身体にも飛散した様で薄茶色の体毛には白い液体がこべりついていた。

「いつもより早くない?」

そう言いながら目先に見える白濁液を舐め取った。
口の中に総司の味が広がる。

「だって…久し、ぶりだし……最近、仕事ばっかり、だったし………」

「そう言えば前ヤったのって随分前だったよな〜おかげで俺も結構溜まってる」

「……じゃあ後ろ使う?」

「その前に舐めてくんない?総司だってイってすぐ後ろ使うのはキツイでしょ?」

そう言うと立ち上がり、俺はズボンを脱ぎ捨てた。
下着には既に先走りでシミができている。
総司は身体を起こしちょうど俺の前の位置に座り直した。

「一杯…溢れてる」

「総司のイってる所見たらそりゃあ、ね」

総司は俺の下着に手を伸ばし、ゆっくりとその手を下に下げる。
それに伴い姿を現す一物。
太ももまで下着を下ろすと、遂にその全貌が現れた。
腹側の真っ白な体毛の中で赤黒いそれは一際目立って浮かび上がる。
一旦顔を上げ俺に目配せすると、総司はそれを頬張った。
途端生暖かい感触が走り、安堵にも似た息がこぼれた。

「ん…気持ちいい……」

そう言って総司の頭を掻きまわす様に撫でる。
総司はその間にも舌を這わせ、頭を前後に動かし俺の一物を刺激している。
一時は動悸が収まった胸の鼓動が再び高なる。
鈴口から溢れる先走りと自分の涎を全く気にせず、必死に一物をしゃぶる総司の顔はぐしゃぐしゃになっていた。

「もういいよ総司。そろそろいいでしょ?」

そう言うと総司は俺の股間から顔を離した。
唾液と先走りに塗れ、勃起する一物は異様な存在感を醸し出している。
下を見るとしゃぶっている間に元気を取り戻したのか、総司の物も再び勃起していた。

「やっぱり。ホント今日の総司は元気いいね」

「…もう」

恥ずかしそうに顔を赤らめる総司に顔を近づけると、何度目かも知れないキスを交わした。
口の中にほんのりとしょっぱい味が広がる。
近づく台風の激しい雨と風が窓を打ち付ける音が響く。
俺はゆっくり顔を離すと、察したように総司は両足を上げた。
尻の合間から見える穴は呼吸するかのようにひくついていた。
片手で足首を手に取ると残る片方で一物を握り、その穴にあてがう。

「きて…」

その言葉と共に慎重に腰を突き出していく。
いくら慣れているとは言っても久しぶりの挿入、しかも指で慣らす事無く挿れているのだから当然だ。
総司もやはりきつい様で、目をぎゅっと瞑り下半身から襲い来る痛みをじっと堪えている。

「大丈夫?」

一度挿入を止め、総司の身を案じ亀頭が収まった辺りで声を掛けた。

「大丈夫…久し振りだからきついけどすぐ慣れると思うし…」

うっすらと目を開け答える総司。
ならば、と俺は再び挿入を開始した。
総司が痛みに声を上げるならすぐに挿入を止め、慣れたらまた挿入を繰り返すこと十数分。
遂に根元まで穴に納まり、俺達は身も心も完全に繋がった。

「いくぞ…」

ゆっくりと腰を引き、押し出す。
久しぶりの穴から与えられる感覚に思わず身を震わせる。
これ以上我慢する事は出来なかった。
その快感をもっと得るべく息を荒げ、腰を振るペースを早める。

「あっ!ああっ!あぁぁ!!!」

一物が奥を吐く度総司は喘ぎ声を上げ、股間に揺れる一物から先走りを振りまいた。
俺は自身が達したいのと、愛する者を達させたい一心で腰を振った。
最初は浅かったインサートもいまや深く、激しいものに変わり雨風の音と一緒に肉のぶつかり合う音が響く。
腰は休めず前屈みになり、喘ぐ総司に顔を近づけその空いた口を塞いだ。

「んんー!んーーー!!!」

吐き出される空気が交換され行き来する。
口の中を無茶苦茶に舐め回すと更に感情が昂るのがわかった。
総司があいた両手を俺の背中に回し、抱きつく。

「んんーーーー!!!」

腰を回す様に動かし中を刺激していると総司が一際大きな声を上げた。
感じる部分をなぞった様で身体がびくんと痙攣し、背中の腕にも力が入った。
お互いキスは続けたまま、俺は再び腰を突き出し総司の中を責める。
自分の限界が近い事を悟った俺は猛然と腰を振る速度を上げた。

「んん!んんーん!!!んんん!!!」

総司も今まで以上の喘ぎ声を俺の口の中に発した。
それが最後だった。

「…んんっ!!!」

総司の奥に付き入れた時、俺は果てた。
最後の瞬間まで俺達の口は離れること無く、ずっと繋がったままだった。
恐らく総司も同時に果てたのだろう、俺の腹部が濡れていた。
口を離したのはそれから暫くした後だった。
お互いの瞳をじっと眺めると、精液で体毛が汚れるのを顧みずどちらとも無く抱き合った。
言葉なんて無くても肌から伝わる体温―――それだけで十分だ。
雨風は未だに強く窓を叩いていた。